胃食道逆流症(逆流性食道炎など)に対する新しい内視鏡治療(ARMSアームス)

・ 食事の欧米化に伴い逆流性食道炎(胸焼けや苦い胃液ののどへの逆流など)が急速に増加しています。逆流性食道炎は胃食道逆流症の1つです。
・ 逆流性食道炎に代表される胃食道逆流症の第一選択の治療は薬物療法(プロトンポンプ阻害薬など)です。この薬の治療が有効であれば大変良いのですが、無効な場合、これまでは外科手術(腹腔鏡下Nissen手術)をお勧めしてきました。
・ しかしながら患者さんは外科手術を好みません。私たちはこの逆流を防止する手術を、体表にメスを入れることなく、内視鏡的に行う方法を模索してまいりました。そしてセンター長の井上教授がたどり着いた完成型がARMSと呼んでいる治療法です。ARMSとはAnti-reflux mucosectomy(逆流防止粘膜切除術)の略語です。
・ ARMSとは、「逆流防止のための粘膜切除術(anti-reflux mucosectomy)」の略です。胃食道逆流症では、噴門(食道が胃に入るところ)が緩んでいることがほとんどです。その緩んだ噴門部の粘膜を粘膜切除術によって切除して、内視鏡的に噴門形成術をおこないます。

ARMS_内視鏡画像
 左側は治療前の噴門部を胃から見上げたところですが、噴門(食道と胃の境目)が緩んでいるのがわかると思います。この状況では、胃液が食道に逆流してしまい、胸焼けやむせ込みがおこります。
一方、右側の写真は、ARMSによる治療後ですが、噴門はキュッとしまり、逆流が改善するであろうことは容易に予測がつきます。

・ 人工物を入れたりはしませんので、長期的にも安全な治療法といえます。
・ この治療法は昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院の倫理委員会の承認を得ております。保険診療ではなく、自費診療ですが、患者さんの負担をできるだけ少なくする配慮をおこなっています。詳細は担当医にご相談ください。
・ 現在までに多数の患者さんに施行しております。2015年11月現在で40名です。施行したすべての患者さまで大きな改善をしています。
・ 治療後、一番長い方は10年以上の経過を追っており、治療効果は継続しています。
・ 重大な偶発症はなく、安全な治療と考えております。
・ 最新のARMSでは噴門粘膜の亜全周切除を行いますが、その部分の狭窄などのために拡張術を要した方は1例もありません。
・ この治療法(ARMS)は、米国の消化器内視鏡学会、日本内視鏡外科学会などで発表するとともに、国際誌に英文論文としてpublishされています。

文献
1. Satodate H, Inoue H et al. Circumferential EMR of carcinoma arising in Barrett’s esophagus: case report. Gastrointest Endosc 2003;58:288-92
2. Satodate H, Inoue H et al. Squamous reepithelialization after circumferential mucosal resection of superficial carcinoma arising in Barrett's esophagus. Endoscopy 2004; 36: 907-12
3. Inoue H, Ito H, Ikeda H et al. Anti-reflux mucosectomy for gastroesophageal reflux disease in the absence of hiatus hernia: a pilot study. Ann Gastroenterol 2014; 27: 346-51


                昭和大学江東豊洲病院 消化器センター
                教授・センター長   井上 晴洋
                問い合わせ(電子メールアドレス):haruinoue777@yahoo.co.jp