DOHaDに関するよくある質問

低出生体重児とは?

(答え)出生体重が2,500g未満で出生した児を低出生体重児といいます。

1.出生体重による分類  

     低出生体重児   出生体重が2,500g未満
     極低出生体重児  出生体重が1,500g未満
     超低出生体重児  出生体重が1,000g未満

2.在胎期間による分類  

     正期産児     出生時在胎期間が37週0日~41週6日
     過期産児     出生時在胎期間が42週0日以上
     早産児      出生時在胎期間が22週0日~36週6日
  Late preterm infant    出生時在胎期間が34週0日~36週6日
  Very preterm infant     出生時在胎期間が32週未満
  extremly preterm infant  出生時在胎期間が28週未満

2016年04月29日

低出生体重児が将来かかりやすい病気は?

(答え)報告によって多少異なりますが以下のような疾患が知られています。

1.低出生体重との関連性が広く受け入れられている疾病リスク  

     高血圧、冠動脈疾患、Ⅱ型糖尿病、脳卒中、脂質異常、神経発達異常 など

2.報告は少ないが低出生体重との関連性が指摘されている疾患リスク  

     慢性肺疾患、うつ病、統合失調症、行動異常、乳がん、精巣がん など

参考文献) de Boo HA et al,. Obstet Gynaecol, 46(1): 4-14, 2006

2016年04月30日

低出生体重児となる原因にはどのようなものがありますか?

(答え)子宮内発育不全および早産が低出生体重児を生じさせる主要な原因です。

 子宮内発育不全(intrauterine growth restriction: IUGR)とは、超音波検査で算出した胎児推定体重が在胎期間別胎児発育基準値の-1.5SD以下である状態と定義されています。この基準値は正期産で出生する児の縦断的な胎児超音波検査データを用いて算出されています。胎児が子宮内発育不全となる理由はたくさんあります。大きく分けると、母体因子、胎盤・臍帯因子、胎児因子の3つに大別されますが、理由がはっきりとわからない場合もあります。母体因子としては、母体の年齢(若年妊娠、高齢妊娠)、母体の低栄養、妊娠高血圧症候群、母体の喫煙歴など様々です。胎盤・臍帯因子としては、胎盤のサイズや位置の異常、双胎妊娠などがあげられ、胎児因子としては胎児の染色体異常や先天性感染症などがあげられます。子宮内発育不全がなく在胎期間相当の胎児発育が得られている場合でも、早産の場合には低出生体重児となる可能性が高くなります。正期産は37週から41週までの分娩を指し、在胎22週0日~36週6日の間に出生した児がを早産児です。

2016年05月01日

早産に伴う低出生体重でも疾病リスクと関連するのでしょうか?

(答え)いまだ議論はありますが、少なくとも特定の疾病には罹患しやすいようです。 

 低出生体重児における将来の疾病リスクは、子宮内発育不全が原因の場合でも早産が原因の場合でも同じように生じるのかという問題は現在も議論がなされています。
 現在までの見解としては、子宮内発育不全がない早産児でも特定の疾病(例えば高血圧や慢性腎疾患など)のリスクは上昇するようです。例えば、未熟性の高い児ほど血圧上昇が重症となりやすいとの報告もあります。早産児は子宮内発育不全とは無関係に、インスリン抵抗性が生じやすいとの報告がありますが、それには否定的な意見もあります。早産児は少なくとも生後早期は、筋肉量の減少や体脂肪率の増加などが生じることがわかっており、これらの疾病リスクとの関連が考えられていますが詳細はわかっていません。

2016年05月01日

DOHaD仮説は低出生体重児に限定したものですか?

(答え)低出生体重児とはならない感受期(子宮内や生後早期)の環境の変化でも、将来の疾病リスクに関与すると考えられています。 

 DOHaD仮説の前身である胎児プログラミング仮説は、低出生体重児の疾病リスクが注目されることで発展してきました。しかし、DOHaD仮説で考える疾病リスクは低出生体重児に限定した話ではありません。DOHaD仮説で重要な点は、発達過程(胎児期や生後早期)における様々な環境によりその後の環境を予測した適応反応(predictive adaptive response)が起こるという点です。この反応は低出生体重児になることとは全く無関係な環境でも生じると考えられています。この概念で重要なのは、感受期(胎児期や生後早期)の環境とその後の環境の適合/不適合が疾病リスクに関係するという点です。また、感受期に暴露されるストレス環境など、栄養環境以外にも様々な環境の影響を受けてこの反応が生じうると考えられます。

2016年05月01日

母乳栄養は将来の肥満リスクを軽減するのですか?

(答え)母乳栄養で育った児は,将来の肥満のリスクが低いとする多くの疫学調査の結果がありますが,それには否定的な意見もあり現在のところ一定の結論は出ていません.

 母乳栄養で育った児は、将来の肥満発症リスクが軽減されるという疫学調査の結果が数多くあります。しかし、これらの報告には多くのバイアスが存在するため、バイアスを考慮して質の高い報告に限定した場合にはその関係性はないかあっても極軽度と考える人もいます。実際、母乳栄養による肥満抑制効果を検討した無作為化比較試験では、その関係性を証明することはできませんでした(完全に否定するものではありません)。そのため、現在も結論は出ていないというのが現状です。
 例えばその他にも、乳幼児突然死症候群,急性中耳炎や重症下気道炎などの感染性疾患,アトピー性皮膚炎や小児喘息などのアレルギー疾患など、様々疾病リスクが母乳栄養によって軽減されるとの疫学的な調査結果が報告されていますが、詳細なメカニズムは明らかとされていないものも多くみられます。このような生後早期の栄養環境と疾病リスクの変化を、DOHaDを用いて説明できる日が近い将来やってくるかもしれません。

 

以下関連書籍です。

① 中野有也.母乳研究最前線 母乳哺育とDevelopmental Origins of Health and Disease 日本母乳哺育学会雑誌 2013年7巻1号 Page35-41.2
②中野有也、板橋家頭夫.【Q&Aで学ぶお母さんと赤ちゃんの栄養】Q&A小児科編 人工乳 人工乳は将来の肥満の原因になりますか? 周産期医学 2012年42巻増刊 Page193-194.
③中野有也、板橋家頭夫.【メタボリックシンドロームと周産期管理】母乳栄養はメタボリックシンドロームのリスクを軽減できるのか? 周産期医学 2012年42巻7号 Page911-915.

 

2016年05月01日

日本で低出生体重児が増えていると聞きましたが本当ですか?

 

(答え)日本人の平均出生体重は最近40年で200g減少しており、低出生体重児の割合も全体のも9-10%程度まで増加しています。しかし近年になって、その傾向には歯止めがかかっているようです。

 日本における人口動態統計に注目すれば、出生時の平均体重は最近40年の間に男女とも200g減少し、低出生体重児の割合も、平成25年には男児で8.5%、女児で10.7%まで増加しています。

 このような出生時の体型の経時的変化には、日本における母体のやせ志向や喫煙歴などが関係していることが指摘されており、日本における妊産婦への栄養管理の重要性が再認識されています。このような国は非常に珍しく、世界的には出生体重の平均値はその国の経済状況を反映している場合が多いことがわかっています。すなわち、出生体重は発展途上国では小さい傾向があり、経済的に安定した先進国では大きい傾向があるのです。日本のように栄養環境が恵まれた国で低出生体重児が増え続けてきたという事実は世界的に見れば特異な傾向と言えます。

 最近の5年~10年くらいに焦点をあてれば、平均の出生体重の低下には歯止めがかかっていますが、これが妊産婦の栄養環境の改善に起因しているかどうかはわかっていません。今後も日本における平均出生体重の推移、低出生体重児の割合の推移には注目していく必要があります。

                         厚生労働省HPより引用/一部改変

2016年08月04日