主任教授ご挨拶

主任教授からのメッセージ

昭和大学病院産婦人科 教授 岡井 崇

昭和大学産婦人科学教室は、昭和3年に本学の前身である『昭和医学専門学校』の設立と同時に開講され、以来70余年の歴史を有しています。初代の主任教授は俳人として有名な水原豊(俳号 秋櫻子)先生で、私は6代目の担任になります。

先達の多大な御尽力の結果、教室からはこれまで幾多の名医・良医が輩出されて来ました。また、産婦人科学に関する多くの優れた研究業績の達成は本教室の質の高さを示すものであり、国内外から高い評価を得ています。

医学部臨床系教室の活動には、教育・診療・研究の3つの柱があります。どれも軽んずることは出来ませんが、敢えて優先順位をつけるとすれば、私は”教育”を最初に挙げたいと考えています。診療は臨床病院、研究は研究所でも出来ますが、真の医師教育は大学以外では出来ないと思うからです。従って、本教室では特に研修医・若手医師の教育に力を注いでいます。

医師としての人格、知識、技術全てが水準以上の産婦人科専門医を養成するために、基本から学び深く病態を理解すること、症例を豊富に経験し実践で役立つ医学を学ぶこと、上級医師から積極的に知識・技術の伝授を受けることなどが自然にできる教育環境の整備を進めてきました。”教職員は全て教師であり学生である”の精神を皆が共有し、定期的なカンファレンスなど以外でも常に教え合い学び合える教室であると自負しています。

診療では、病院の理念である”患者本位の医療”に加えて、新しい医療の流れである”患者への情報提供と患者の自己決定権の尊重”を診療指針の基本に置いています。難病やハイリスク症例に高度先進医療を実践するのは大学病院の当然の役割ですが、日常遭遇する頻度の高い良性疾患等においても、患者の個性や病態の特性に配慮した最適の治療を考え、治癒までの過程を重視した診療を行なっています。また、常に診療結果を厳しく評価し、その分析に基づき更なる診療の質の向上を目指す様心掛けています。

特に重点を置いている臨床領域は、ハイリスク妊娠の管理(当院には平成15年度より東京都指定の総合周産期母子医療センターが開設されます。)、婦人科悪性腫瘍の診断・治療、婦人科良性腫瘍の低侵襲治療、不妊症診療(特に新しい生殖補助技術)、更年期・思春期の医療(特に心身症のケア)などです。

本教室では研究活動も非常に活発です。研究は進歩の礎です。研究は楽しいものです。自由な発想で夢のある研究テーマを教職員自らが考え選ぶことで、研究の楽しさは増し夢は膨らみます。大学の教室に籍を置く利点の1つは研究ができる事です。

臨床教室である以上、臨床の進歩に繋がる研究が望ましいのは当然です。その研究成果は、間接的であっても、いくつかのステップを重ねる事で臨床の進歩に結び付く、その様な内容が望まれます。その意味で、臨床研究・基礎研究を問わず本教室で行なっている全ての研究には、明確な臨床の目標を掲げています。現在進行中の教室の研究プロジェクトを別表に示します。

日本でこれまで漠然と信じられてきた事実『組織の中では感情が伝染する、明るく前向きの感情は人の力を最大限に引き出す』を米国の研究者は科学的に実証しています。教室員の力を引き出し、各々の勉学と努力を効果的なものにするためには教室主体のアトモスフィアを良い方向に導くことが重要で、それが私に与えられた最大の責務であると考えています。

明るくて活気に溢れ、そして夢のある楽しい教室を目指して教室員と共に歩んでゆきます。

平成14年7月
岡井 崇