毒物学部門 主任教授からのごあいさつ

 
 主任教授 沼澤 聡
 私たちは医薬品をはじめ多くの化学物質に囲まれて生活を行っており、もはやこれらがないと生活が成り立たなくなっています。多くの化学物質は環境中で安定であるものの、一旦体に入ると代謝を受けて不安定となって毒性を生じたり、特定の臓器に蓄積して障害を引き起こしたりします。また、化学物質曝露が引き金となって、免疫系などの生体応答が過敏となる場合もあります。従って、個体の毒性発現は、生体の内外環境の変化の結果生じる極めて複雑な生体反応の総和として捉えることができます。

毒物学部門の究極的目標は、「食品・環境中の化学物質、医薬品や乱用薬などによる予期せぬ毒性を分子レベルで理解した上で毒性予測に応用し、最終的には毒性を事前に回避する手段を構築・提案すること」です。発現した毒性の質的理解や毒性予測には、基礎的研究に裏打ちされた多彩な知識と経験が要求されます。学生の皆さんには、医療チームの中で薬剤師だけが持ち得る「センス」を養うために、大学4〜6年の間に基礎研究の経験を積み上げて頂きたいと願っております。そのことが、将来薬剤師として医薬品のリスクマネージメントを行う際に、他の職種にはない視点を作り出し、あなた達が真にチームメンバーとして必要とされる人材となることに繋がるものと信じています。