昭和大学横浜市北部病院 放射線技術部 技師長(部長)
崔 昌 五
昭和大学保健医療学部大学院保健医療学研究科 講師
横浜市北部病院は、平成13年に横浜市北部地域の中隔病院として開院しました。国内においていち早く電子化に取り組んできた病院で電子カルテの導入やフィルムレスを実現してきました。現在でも電子化された全て放射線関連画像は、スピーディな画像表示で患者さんのニーズに応えています。
画像検査機器の例としましては、当院が保有する3台のマルチスライスCT装置の中で、特徴的な2台について説明します。まず、SIEMENS社製 Definition
Flashは2つのX線管を有し、従来の一般的なCT装置と比較して4倍以上の超高速撮影が可能であり、かつ非常に少ない放射線被ばく線量(検査の種類によって異なる)で検査を行えるようになりました。次に広い検出器幅を有する東芝社製Aquilion
ONEは、世界で唯一の「エリアディテクター」を有しており、寝台を移動させることなく0.5秒で160mmの範囲を撮影することが可能であります。そのため、腹腔内臓器の経時的な変化を観察できるようになり、診断能の向上が期待できます。当院では、これらの装置の導入により「より患者さんに優しい」CT検査が行えるようになっております。
また、北部病院は昭和大学に附属する病院の中で唯一PET/CT検査を受けることができる病院です。PET/CT検査では、ブドウ糖と類似した構造の18F-FDGという放射性医薬品を使用します。多くの悪性腫瘍は、正常な細胞と比べてブドウ糖をたくさん必要とするためにFDGをより多く取り込みます。FDGから放出される放射線を画像化することで腫瘍の位置、大きさ、病気の活動性や治療の効果を調べることができます。また、PET画像とCT画像を重ね合わせた合成画像を作成することで、より詳細な腫瘍の位置を特定することができます。このように先進的な画像情報の提供も行っております。
最後に、患者さんに安心な医療という観点から、X線検査室(レントゲン検査室)まで写真を撮りに行くことができない人のために、病室でX線撮影を行うための移動型X線撮影装置は、「放射線を出す機械」という威圧感を少なくするため、装置本体に「キティちゃん」のシールを貼っております。患者さんには好評を頂いております。