第53回日本周産期新生児医学会学術集会でFrank Bloomfield先生の講演を聴いて
招待講演1
座長:伊東 宏明 先生(浜松医科大学産婦人科学講座)
演者:Frank Bloomfield(Liggins Institute, Auckland)
題名「Nutrition in fetal and neonatal life and effects on the pacreas」
Frank Bloomfield先生については下記をご覧ください。
【発表内容の紹介(聴講して感じたこと)」
発表内容は、1. 早産と膵機能、2. 栄養摂取と膵機能の変化、3. その他、についてでした。
1. 早産と膵機能について、
〇早産は糖尿病のリスクを増加させるファクターであり、成人期早期にはその傾向が認められる。
〇単純なインスリン抵抗性だけではなく、膵細胞の機能不全がそこに関連しているようである。
〇羊の研究では、早産は成人期の膵細胞のmassを減少させる。
〇分娩前のステロイド投与は、膵保護に働く可能性がある。
2. 栄養摂取と膵機能の変化について
〇羊の研究では、生後最初の2週間の栄養が離乳期の膵機能に影響を与える。
膵細胞のmass/膵糖サイズが変化しインスリン分泌能にも変化が生じる
〇羊の研究では、栄養摂取に伴う膵臓におけるmRNAの変化には男女差が認められる。
男ではインスリン分泌能が増す
〇新生児の栄養がのちに及ぼす影響には男女差があることは、ヒトでもある程度エビデンスがある。
3. その他について
〇早産児にとって、経験栄養実施における”匂い”や”味”の暴露は、重要なファクターかもしれない。
早産と生活習慣病リスクについて、膵臓のインスリン分泌能に着目してお話しをされており、非常に興味深い内容でした。さらに特に早産児の栄養管理には効果に性別差があること(性別に応じた栄養管理を検討すべき?)、匂いや味の重要性になどにも触れ、今後の研究のひとつの方向性を示す話題であったように感じました。
Liggins研究所はニュージーランドオークランドにあるDOHaD研究の世界的拠点の一つです。
過去には日本DOHaD学会とLiggins研究所を母体として、日本とニュージーランドで共同研究を進めるための二国間の共同セミナーを開催されています。