皆さま、DOHaD研究が畜産の分野に応用されていることをご存じだろうか?
以前、日本DOHaD研究会の学術集会で、九州大学のブランド和牛である”Q Beef”の存在を知ったときは非常に強い感銘を受けた。この牛はDOHaDの概念を用いてつくられた霜降り和牛で、初期成長段階で代謝生理的インプリンティング(刷り込み)を起こすことで、草食でも太りやすい体質を獲得させ、霜降り和牛をつくっているそうである。低出生体重児の生活習慣病リスクというとらえ方とは異なり、DOHaD仮説の概念も分野が違えばよりポジティブな使い方ができるものだと感心した。
DOHaD仮説は疾病の予防、エピゲノム変化を標的とした創薬だけではなく、畜産やその他の食品分野など医学以外の分野にも革新的な変化を起こしうる概念なのではないかと思う。今後のDOHaD研究の発展に期待したい。