研究に参加・協力してくれる方募集

早産低出生体重児における脂肪細胞の数と大きさの変化が将来の疾病リスクに与える影響

研究責任者:中野 有也
研究担当者:中野 有也
研究費:日本学術振興会科学研究費 若手B
概要:早産低出生体重児におけるメタボリックシンドロームなどの将来の疾病リスクは、脂肪組織のMal-development と密接にかかわっている可能性があります。実際、早産低出生体重児は分娩予定日に筋肉量が少なく体脂肪率が高いことが報告されている。この研究では、手術目的で入院する乳幼児を対象に手術時に少量の脂肪組織を採取し、早産低出生体重児と正期産正常体重児の間で脂肪組織の質(脂肪細胞の数や大きさ)を比較検討し、それに影響を与える因子、インスリン感受性への影響も合わせて評価します。

(研究協力者募集)
対象1:以下の条件を満たす早産低出生体重児として出生した乳幼児(生後6か月~6歳)
対象2:以下の条件を満たす正期産正常体重児として出生したの乳幼児(生後6か月~6歳)
※ 昭和大学病院で外鼠径ヘルニア、停留精巣および臍ヘルニアで手術を施行予定の乳幼児

2016年09月13日

日本の小児における皮膚終末糖化産物(AGEs)の基準値の設定と食由来AGEs量との関連

研究責任者:水野 克己
研究担当者:永原 敬子、越智 綾子、中野 有也
研究費:一般社団法人日本小児内分泌学会 未来開拓研究助成、一部は講座研究費
概要:終末糖化産物(Advanced Glycation Endo-products:AGEs)はグルコースなどの還元糖とタンパク質との間の非酵素的糖化反応の後期段階で生成する構造体の総称です。AGEsは不可逆性最終産物で分解されにくく、生体内に蓄積して組織に沈着し、老化物質として最近注目されています。AGEsはグルコース、グルコース代謝産物や分解物、フルクトースなどから生成されています。このためこれ らを多く含む清涼飲料水、スポーツドリンク、乳酸菌飲料やポテトチップスなどの加熱食品中には多量のAGEsが含まれています。食事中のAGEsが身体へ与える影響を明らかにすることは急務と言えます。 生体内AGEs量は皮膚AGEs値を測定することで推測することができ、非侵襲的に生体内AGEs量を推定することができます。
 成人では年齢に比例して皮膚AGEs値が増加し、年齢別の基準値が明らかとなっています。一方、日本人小児を対象としたAGEs値の検討は今までになく、国際的にも年齢別の基準値は不明です。本研究では健康な日本人小学生の皮膚AGEs値を測定して年齢別に基準値を設定することを研究の第一の目標としています。さらに、食由来のAGEs量と皮膚AGEs値の関連を検討することを本研究の第二の目標とします。皮膚・皮下のAGEsは専用機器であるAGE Readerを用いて、無侵襲で簡単に測定することができます。

(研究協力者募集)本研究は東京都品川区立第二延山小学校の児童の中で、保護者の同意が得られた方を対象に行われます。

 

2020年04月08日

遺伝性心血管疾患における集中的な遺伝子解析及び原因究明に関する研究

研究責任者:永原 敬子
研究担当者:永原 敬子
研究費:小児科学講座研究費
概要:本研究は、金沢大学、医薬保健研究域医学系循環器病態内科学の山岸正和教授を主任研究者とする多施設共同研究です。この研究の目的は、遺伝性の心血管疾患(心筋梗塞など)を引き起こす病気を対象に、候補遺伝子や全ゲノム解析を行い遺伝子の変化を確認することです。昭和大学小児科では、内分泌班が中心となって、本研究の共同研究施設として、上記の遺伝子の心血管疾患を引き起こす家族性高コレステロール血症のある方(年齢制限はありません)を対象に血液検査を行い、金沢大学と連携して原因となる遺伝子の解析を行う研究を行っています。家族性高コレステロール血症といわれている、家族みんな高脂血症がある、小児期から高脂血症を指摘されている、など本症の疑いがあって本研究に興味がある方は是非ご相談ください。

(研究協力者募集)
1)施設:昭和大学病院で血液検査を行います。
2)年齢:年齢制限はありあません
3)家族性高コレステロール血症の臨床診断基準を満たす患者さんとその血縁者の方のうち、説明文書・同意文書にて遺伝子解析に同意をいただいた方を対象とします。また、対象が未成年の方の場合には代諾者の方より同意書を取得します。

★臨床診断基準は以下を用います
 A(15歳未満の場合)
続発性高脂血症を除外した上で、以下2項目を満たす場合
1. 高コレステロール血症:未治療の血清LDL-chol値:140 mg/dL以上
2. 家族性高コレステロール血症あるいは早発性冠動脈疾患*の家族歴(2親等以内の血族)
 *早発性冠動脈疾患は男性55歳未満、女性65歳未満と定義する
 B.(15歳以上の場合)
続発性高脂血症を除外した上で、以下のうち2項目が当てはまる場合
1. 高コレステロール血症:未治療の血清LDL-chol値:180 mg/dL以上
2. 腱黄色腫(手背、肘、膝などの腱黄色腫あるいはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫
3. 家族性高コレステロール血症あるいは早発性冠動脈疾患*の家族歴(2親等以内の血族)
 *早発性冠動脈疾患は男性55歳未満、女性65歳未満と定義する

2018年09月28日

人工肛門造設を行った極低出生体重児に対するヒト母乳由来の母乳強化物質(Prolact+H2MF®)の使用

研究責任者:水野 克己
研究担当者:中野 有也
概要:ほとんどすべての児にとって母乳栄養は最良の栄養法です。しかし出生体重が1,500g未満で出生した極低出生体重児では、生後早期の成長に必要な栄養を母乳のみから摂取することは難しく、母乳に母乳強化物質(本邦ではHMS-2®などを使用)を添加し栄養の強化を試みるのが通常です。しかし、人工肛門を造設している児に、本邦で一般的に使用されている母乳強化物質を使用した場合には“噴石”を形成し腸閉塞をきたすリスクがあることが報告されています。そのため、人工肛門を造設した極低出生体重児に対しては、母乳強化物質を使用することを控えることが一般的であり、その生後の成長はかなり緩徐で、理想的な成長とは程遠いのが現状です。また併用する静脈栄養の影響により胆汁うっ滞性肝機能障害のリスクが増加し、未熟児くる病を背景に骨折する症例が散見されるなど、栄養管理に難渋する例が多く経験されます。現在本邦で使用されている母乳強化物質の蛋白は、ウシ蛋白(牛乳)由来であり、消化吸収が母乳単独使用例と比較すると悪くなってしまいます。海外ではヒト母乳から成分を取り出した母乳強化物質「ヒト母乳由来の母乳強化物質(Prolact+H2MF®)」を利用して母乳に加えており、本邦で市販されているウシ蛋白由来の母乳強化物質と比較して消化吸収がよいことが知られております。そのため、ヒト母乳由来の母乳強化物質を使用した場合には、体重増加の改善が見込まれるばかりか、ウシ蛋白由来の母乳強化剤を使用した場合と比較して、“噴石”形成のリスクも低くなると推測されます。しかし、日本ではまだヒト母乳由来の母乳強化物質の提供販売はなされていないのが現状です(本邦では、人工肛門造設がなされた症例ではありませんが、昭和大学江東豊洲病院で使用経験があり、良好な結果が得られています)。 本研究は、人工肛門造設を行った極低出生体重児に対してヒト母乳由来の母乳強化物質(Prolact+H2MF®)を使用し、その効果と安全性を確認するものです。

(研究協力者募集)
対象:昭和大学病院NICUに入院中の極低出生体重児(1,500g未満出生)の中で人工肛門を造設した児
★重大な基礎疾患などを有さず担当医が候補者として適格と判断し方に限定します

2018年08月06日

在胎期間別臍帯血インスリン様成長因子の標準値についての検討

研究責任者:長谷部 義幸
研究担当者:長谷部 義幸
概要:インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)は成長ホルモン刺激により末梢組織、主に肝臓で合成される物質です。IGF-Ⅰは、肝臓での蛋白合成を促進させるとともに、筋や軟骨の細胞を増殖させ、老化や寿命の制御にも関わることが明らかになっています。近年、周産期医療の分野でもIGF-Ⅰと周産期合併症の関連が注目されており、過去の報告から未熟児網膜症、慢性肺疾患、神経発達障害及び成長障害の発症に関連していることが知られています。未熟児は出生時から血中IGF-Ⅰが低値で推移することがわかっているため、それがこれらの周産期合併症の発症に関わっていると考えられるいます。そのため海外では、遺伝子組み換えヒトIGF-Ⅰ/IGF binding protein-3製剤を投与してこれらの周産期合併症を予防しようという試みがなされており、現在は本邦を含めた国際共同第Ⅱb/Ⅲ相試験が予定されています。しかし一方で、胎児期の各段階のIGF-Ⅰ標準値の報告は少なく、信頼性の高いデータは無いのが現状です。本研究は、日本人における在胎期間毎の臍帯血IGF-Ⅰ値の標準値を算出するため、出生した児の臍帯血中のIGF-Ⅰ濃度を測定する研究です。

(研究協力者募集)
対象:昭和大学病院で出生し、昭和大学病院NICUに入院した児
★先天異常や染色体異常を合併している児は対象から除外いたします。

2018年11月22日

超早産児に対する早期強化母乳栄養の効果に関する検討

研究責任者:板橋 家頭夫
研究担当者:宮沢 篤生
研究費:日本学術振興会科学研究費 基盤C
概要:極低出生体重児における栄養管理の基本は、生後早期からの積極的な栄養摂取により子宮外発育不全を回避し将来の神経学的予後を改善させようとするものです。そのためには生後早期から静脈栄養を併用し、経腸栄養では母乳栄養を基本として母乳強化パウダーを使用するのが一般的です。ただ、現在の我が国における母乳強化パウダー開始時期は、副作用など考慮し諸外国と比較して遅い傾向があります。そのことが生後早期の栄養摂取量を減少させてしまうため、これが児の成長に悪影響を与えている可能性があります。静脈栄養の中止時期に母乳強化パウダーの使用が十分でないと、その時期の栄養摂取量が不十分となるからです。本検討では、母乳強化パウダーをより早期から開始することで得られる効果を検証し、副作用などが増えないことを確認するための試験です。

(研究協力者募集)
昭和大学病院NICUに入院する極低出生体重児が対象候補者となります。

2017年11月28日

極低出生体重児の体組成正常化および神経学的予後改善を目指した栄養管理の検討、ならびに早期リスク評価のための新規指標の検討

研究責任者:中野 有也
研究担当者:中野 有也
研究費:科研費「基盤C」、一部はFGHR臨床研究費
概要:極低出生体重児(出生体重が1,500g未満の児)は、学童期までに発達の遅れが生じやすく、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動症、学習障害など発達障害の頻度が高いことが報告されています。また、成長のポテンシャルが低下することで成人期になっても小柄な人が多く、筋肉がつきにくく体脂肪がつきやすいなどの体質変化が生じる事が示唆されています。そのような体組成の影響もあり、成人期には糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を発症するリスクが高いことが報告されており、また、慢性腎臓病を発症するリスクも高く、その一部は小児期から治療を要することがわかっています。極低出生体重児におけるこのような長期的な病気のリスクは、胎内環境に加えて、NICUでの成育環境や出生後の成長パターンが大きく関係し、特にNICUでの栄養管理や体組成の変化が、その後の発達や病気のリスクに密接に関わっていることがわかってきました。本研究は、極低出生体重児における将来の神経学的予後を改善させ、遠隔期の様々な疾病リスクを軽減させるためのNICUでの管理指針を明らかにするとともに、そのような疾病のリスクを早期から評価するための指標を明らかとし、よりよいフォローアップ指針を策定することを目的に立案されました。研究参加者にはNICU入院中からフォローアップ中の各種データを提供していただき、それをもとにNICUでの最良の治療方法やフォローアップ指針策定を検討いたします。

(研究協力者募集)
昭和大学病院NICUに入院する極低出生体重児が対象候補者となります。他院のNICUを退院し、昭和大学病院小児科でフォローアップされる極低出生体重児も途中からこの研究に参加することが可能です。

2019年08月02日